食べ物を自然光で 。1回目

「どうやったら上手く撮れるんですか?」とよく聞かれます。

人物だったり、その人の仕事に関する専門的なものだったりしますが、一番多いのは食べ物です。

僕は、フードフォトが専門ではありませんが、自動車誌や女性誌の旅企画などで、食べものを撮影することもたくさんありました。

料理がメインの撮影の場合は、しっかり機材を用意しますが、予定にはない取材の途中に出会った料理を撮ることもあります。

そんな時は、カメラだけ、つまりライティングなしで撮ります。

そもそも僕は、カメラの上につけるクリップオンストロボが嫌いで、ずっと持っていませんでした。

だから、リチウム電池が普及するまで、照明といったら大型ストロボを持って行くか行かないかのどちらか一択でした。

教えて欲しいとは言っても、しっかりライティング機材まで用意しようと思う方は、あまりいないと思います。

機材を用意したとしても、使いこなすためには結構練習が必要というか、本気で勉強しないと無理です。

というわけで、僕がよくやる、料理の撮影のはずじゃなかったのに料理撮るときによくやる方法を書いてみたいと思いました。

ストロボなしの、自然光(お店の照明を含む)で撮影した写真を集めてみました。

必要なのは、カメラだけです。参考になれば嬉しいです。

世界一の朝食
三つ星「ラ・コート・ドールの世界一の朝食」プライムリゾート賢島で 

*撮った時に考えていたことと撮影データ

上の写真は、お客様がいない時間に窓に近い席を選んで撮らせていただいた。
窓から入り込む日陰の柔らかい光 90%と天井からのハロゲン光 10%くらいのミックス。
天井からのハロゲンの光が少し気になったけれど、カラーメーターで測って後処理可能と考えて進める。
窓からの光は青みがかっているので、色温度設定 7000k(これは仮で後でraw編集前提)
自然光は、ななめ後ろからの半逆光。
この写真は、並びと色が命なので、配置を決めた後、位置の微調整を繰り返して撮影。
真俯瞰の撮影で大事なのは、本当の真上を探すことと、カメラの水準を正確に合わせること。
これがなかなか難しいです。
この撮影は、線が綺麗に出ることが大事なので、三脚を使いたいところでだが時間をかけられないので、手持ちで。

撮影データ Canon EOS-1Ds Mark II  EF24-105mm/f4 iso200 1/100sec f7.1  rawで撮影 

・raw編集
Adobe camera rawで編集 色温度7100k プロファイル Adobe ビビット
撮影では、完全ではなかったカメラの水準を補正して線をキレイに出した。ついでにレンンズ歪みも補正。
画面右下が、少し暗くなっているのでグラデーションのツールで補正。

手前の右の大きな皿に視線誘導するため部分補正で少し明るく。


プロカメラマンがライティングする理由

プロカメラマンがライティングをするのは、なぜだと思いますか。

カメラマンは(僕の場合)、一番キレイに写るからストロボを使うわけではありません。

応用が利いて、場面に応じて最適に近い光を作る手段としてライトを使います。

つまり、どんな時でも安定した品質の写真を撮るために使うわけです。

では、一番キレイな光はなに?と聞かれたら、僕なら条件がハマった時の自然光(太陽光)と答えます。

極端な言い方になりますが、仕事の場合、条件がハマるまで何時間も何日も待つわけには行かないので、ライトで光を作るわけです。

 

ライトなら、晴れの日にも曇りの日にも、夕日の時間にも出来るというわけです。

あくまでも僕の場合ですが、ライティングは、自然光の模倣である場合が多いです。

静岡県の完全無農薬野菜 ビオファームまつきの野菜
静岡県の完全無農薬野菜 ビオファームまつき 松木さんが料理してくれたニンニク風味フランス風野菜炒め(料理名不明)

*撮った時に考えていたことと撮影データ

写真は、自動車雑誌の取材で、静岡のビオファームまつきを訪れたときに松木さんが料理してくれた。
これ、最高に美味しかった。
料理しているのをこっそりみていたので、まねして
家で何度も作ってみたけれど、上手く行かない。当たり前だけれど。


うす曇りの日で自然光がキレイだったので、庭に出て撮影。
背景は、そばにあった板。
光は自然光のみ、昼近くのほぼ真上からの光(自分の影は逃げられるくらいの角度)。レフ板等何も使っていない。
台の上に立って手持ちカメラで真俯瞰。鍋いっぱいまでギリギリ寄って。
早く食べたいので一瞬で撮影。
撮影データ Canon EOS-1Ds Mark II  EF24-105mm/f4 iso100 1/100sec f8  撮影時ホワイトバランス 5000k  rawで撮影 
・raw編集

Adobe camera rawで編集 色温度5200k  プロファイル Adobe ビビット
料理の周辺部分が鍋の黒を拾って暗く見えるので部分補正で+0.7少し明るく。

手持ち撮影で少し傾いていたので水準を補正・レンズ歪みも補正。
レンズの周辺光量落ちがあるが、あえて補正しない。


料理は自然光だけでも十分キレイに写ることを書きたかったのですが、すみません、今日は、さわりだけになってしまいました。(走りに行く時間になりました。)

近々に続編を書きますので許してください。

次は、もう少し具体的に自然光で撮るとき気をつけたいことを書く予定です。

・光はできるだけ混ぜない

・光の方向と光の質

・簡単な色の合わせ方とできる人にはRaw現像の勧め