写真写りが良くなるコツ 1

1 リラックス

撮影でリラックスするためにできることサンプル写真

特に初めての場合、スタジオという慣れない場所に足を踏み入れただけで緊張してしまうかもしれません。

そんな時、リラックスして下さいと言われても、そうはいきません。

緊張に、何より効くのは、体を動かすことです。

演出家、蜷川幸雄さんの舞台の現場を何度も撮らせてもらいましたが、本番に限らず稽古でも、2時間前くらい僕が入ると、もうすでに俳優たちのストレッチと発声練習が始まっていました。

プロの役者でもそうするわけですから、素人が、準備運動なしで撮影開始では、歩が悪すぎます。


少しだけでも、真似してみましょう。

 

肩(肩甲骨)を回し、首を回し、背を反らし身体をゆっくり大きく動かします。

 

その後、顔の体操。特に、口の周りの筋肉が表情のカギです。大きく動かしましょう。

 

できれば、声を出して。

 

目を大きく開いてクルクル回します。


そしてこれ、ここの写真。なぜジャンプかというと、効くからです。

思いっきりジャンプ。

僕のスタジオでは、本番撮影が始まってからもやってもらったりします。

衣装と髪は乱れますが、直せばいいだけです。

 

仕上げに、深呼吸(複式呼吸)して静かに目を閉じ、なりたい自分をイメージします。

目をゆっくり開き、自分に「イケてる」とささやきます。

 

そして、撮影途中、どう写っているかわからない不安をためないでください。

 

カメラマンから、まめに写真を見せてもらって、もし、嫌な写真だった時は、しっかり意思表示を。

思いが通じ合わず、ずるずるとズレた方向に進んでしまうと、軌道修正が難しくなることもあります。

何度か繰り返して、少し変わってきたかなと思った頃、もう一度、最初の頃に撮ったコマを見返しててください。

「かたいかも!」と感じるはずです。

 

この15分前の未熟な自分がわかるようになってきた頃には、緊張していたことを忘れているはずです。

2 顔の角度

アンディ・マクダウェル写真
アンディ・マクダウェル 撮影 清水博孝

人の顔は、左右の向きによって印象が変わることがあります。

顔の形が左右対象ではないからなのですが、鏡で見るのとは、印象が変わってしまうこともありますから、自撮りなどで見え方を知っておくのが良いと思います。

この角度だとこう写るという、きき顔を知っておくと便利です。

ただし、光と影によっても影響されますから、僕のスタジオでは、左右に振ってもらいテスト撮影をします。
どちらかの顔が、優しそうに見え、反対が、ちょっと意地悪に見えたりしますから、結構違うことに驚いたりします。

 

「こっちがいいですね」と、すんなり決まることもあれば「この光だとこちらの方が良いかも」と変わることもありますから、テストが必要なわけです。

また、左右だけではなく、上下でも印象が変わります。

「顎を、ちょっとだけ引いてください」と声がけすることがあります。

 

5ミリずつのイメージで上下に動かしてもらい、5〜6枚撮ってモニターで見てもらいます。

 

5ミリのはずが、数センチほども動いていて、驚く方も多いです。

引いたり上げたりで、一番変わるのは目の表情です。

少しだけひき気味にすると、目が開き、きりりと引き締まる事が多いです。

ただし、表現したいことによってもガラリと変わりますし、その時々の判断が必要です。

全ての人に、当てはまるわけでもありませんから、注意が必要です。

 

撮影で大事なのは、「見つける」という姿勢です。

 

見て、調整して、いい角度を覚えます。

他の事に気をとられると、忘れてしまいますすが、時々画面を見た時思い出すくらいで大丈夫です。

ビジネスポートレイト 宣材写真 首のシワ
首のシワは直りますから気にしなくて大丈夫です

スマホで自撮りする時、少し上から撮るといい、と言われる訳は、一つ目は、スマホのレンズが広角なので、その特性で遠近感が強調され、目が大きく、顎が小さく見えるからです。

 

二つ目として、自然光の場合、上からだと影が少なくて綺麗というのもあります。

この光とレンズの遠近感の2つとも、スタジオでは影響されませんから気にしなくて大丈夫です。綺麗に見える角度に集中してください。


この時、首のシワやあごのたるみが気になる人もいるかも知れませんが、カメラマンに聞いてみてください。レタッチ(画像修正)で直せることが多いと思います。

3 表情

ビジネスポートレイト 宣材写真 表情のコツ
ピアニスト・動物学者 エレーヌ・グリモー 撮影 清水博孝

表情のことを書こうとすると、勝手に浮かんでくる言葉があります。

「表情は筋トレ」

友人のモデルの言葉です。

 

顔の筋肉を自在に動かして仕事するのがモデルな訳ですから、なんとなく分かります。

ポージングのところとカブりますが、顔筋の準備運動が有効です。

口を尖らせたり口角を上げてニ〜と笑ったり、眼球をぐるぐる回したり、動かせる筋肉は全部動かしてみます。

ここまで、撮影直前にやってしまいます。

それでも、カメラを見た瞬間に固まったり引きつる場合は、カメラマンに言ってみてください。

「ちょっと緊張しているので最初だけ、カメラからちょっと視線を逸らして、撮ってもらってもいいですか?」と。わかってくれると思います。

目を外すだけで楽になると思います。

脳内に、シーンを思い浮かべる体操のようなものだと思ってください。

スイーツだったり、わんこだったり、友達との会話だったり、自然に笑顔になれることを思い浮かべて、素直に表情にしてしまいます。

意識を自分の外に持っていのがコツです。

その辺のところは、カメラマンがうまくやってくれると思いますが、ちょっと雰囲気を変えたいと思ったら、「風ありますか?」と言えば、たぶん送風機が出てきます。

自然の気持ちいい風を感じているような表情も、作りやすくなります。

心の中で、自分が立っている場所は、海でも山でも公園でも自由に。

送風機がなければ、ヘアメイクにドライヤーを借りて、冷風を送ってもらうのもありです。

 

仕事で使う写真なら、いつも仕事で使っている言葉を使うのがコツです。

言葉は、表情とつながっています。

厳しい言葉を発すれば、そういう顔になります。

笑って怖いことを言う人もいますが、それはそれで個性的かも。

 

これは、来ていただくお客様の中で、特に政治家の方にオススメしていますが、話すことに加えて、話を熱心に(前のめりで)聞くというのもやってみてください。

ひと味違う写真になります。

4 姿勢・ポージング

ビジネスポートレイト 宣材写真のポーズサンプル

最初に言ってしまいますが、訓練していない人が、プロモデルのポージングを真似るのは、難しいです。


白壁に囲まれたスタジオで、カメラと1対1で、シャッターが切られるたび、次々とポーズを繰り出すなんていうことは、一般的な生活の中では、あり得ないことです。

だから、できなくて当たり前です。

 

右の写真はプロのモデル、このきれいな動きは、何万回ものシャッターに磨かれてきたものです。

良いモデルは、決まった瞬間を狙ってシャッターを切る必要がありません。動きの中のどこででも、使える絵が撮れます。

この時は、カメラマンが「大きく動いて」と言ったらその瞬間にこのポーズができます。5〜6回シャッターを押したらOKです。

「写真 ポーズ」とググると、いろんな教えがあります。

・顎を引いて

・お腹を引っ込めて

・お尻を上げて

・重心は片足にして動きを出す

・ついでに口角を上げて

・手の動きを柔らかく。

 

まだまだ、たくさんあります。
もっともなことが多いのですが、これを体に一度に命令してできるかというと、、、。

僕はマラソンをやるので、ランニングフォームの解説動画をよくみます。

後半、疲れた時どうするかという質問への良くある答えは、

 

・顎を引いて

・腰を高く
・肘を引いて
・胸を開いて


興味を持ってもらえないかも知れないので、この辺にしますが、疲れて限界近い時に、複数のことを体に命令するのは、無理(僕は)です。

なので、いつも一つに絞っています。

ヘソを高く。これだけで、少し維持できる気がしています。

 

ポージングもマラソンも、一緒だと思います。

ハードルを上げすぎないこと。出来ることだけ、ちょっとずつシンプルに体に命令

少し細く見せたいののなら、少し肘を上げて体と腕の隙間が見えるようにするとか。

 

これでいいと思います。

動かない静止ポーズの場合、

・最初カメラマンに委ねて言われた通りにする

・自分の姿を見る。PC画面でマメに見せてもらって、直す優先順位をチェックして、欲張らず、ひとつまたは2つ直す
・体の歪みと顔の歪みなど、複数をその場で直すのは不可能だと思った方が良い、カメラマンに修正できるか聞いてみる

カメラマンとの共同作業になりますが、ポーズと考えるのではなく、普段の仕事や遊びに中から動きを借りてくる方法があります。

 

必然性のある動きなら、出来るものです。

顎に手を当てて考えるポーズ、腰に手を当てて遠くを見ている風や、何かを説明する動作だったり、何かを作っている動作だったり。

ペンやボールなどちょっとした小道具があると助けられる場合があります。

 

スタジオの複数の場所に、マスキングテープを貼ってもらい、順番に見ていくというのも手です。

1番見て、2番見て、次5番とか。

そのままの姿勢では向くのが難しい、ちょっと無理目な方向にも貼ってもらえば、確実に体が動きます。

そんな、ちょっとした動きの中に、可愛さがあるかもしれません。

マスキングテープに、それぞれ名前をつけても面白いですね。

・コツは、見て知って直すこと

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