写真写りが良くなるコツ 3

9 表現したいイメージに自分を近づける

映画監督ジム・ジャームッシュさん写真
ジム・ジャームッシュ 撮影 清水博孝

「ここまでたどり着くのが大変なのよ!」(ここ=スタジオ)

これは、2年に一度くらいの頻度で写真を撮りにく来てくださるある女性の言葉です。

何が大変かと聞くと、「ダイエットとエステのはしご」なのだそうです。

何日もかけて、得意分野ごとに数店のエステを使い分け、最後に仕上げのエステ。

そして、翌日撮影に来てくれるわけです。

「ここは、イケたんだけど、ここはダメだった。だから、そこは、清水さん担当」

と言います。

カメラマンとして、嬉しいです。

撮影に向けて目標を持って、そこまでしてくれる心が。

勘違いされそうなので、念のために書きます。

みなさんに、そこまでやって下さいと言っているわけではありませんから、安心して下さい。

何が言いたいかというと、定期的に撮りに来てくださるお客様は、必ずと言っていいほど、前回よりも素敵になっています。

キレイに撮られたいという思いで、撮影に向けた準備を繰り返した経験が効いているのは、間違いありません。

 

撮影があると思うだけで、自分の姿を意識するようになります。


エステ、ダイエットに限らず、姿勢も、洋服選びや髪型もそうです。

撮影に向けて、ちょっと違う自分になりたいという思いを持って街を歩いたら、「いいな」と感じる、人やものが目に入るようになってきます。

本屋さんで、雑誌の表紙をながめている時だって、自分に関係ある情報として目に入ってくるはずです。

タレントやモデルがカッコいいのは、まさに、それと撮影を繰り返しているからですから。

キレイになりたいとか、カッコよくなりたいと思ったら、撮影の予約を入れる。

これ素敵です。僕にとっても(笑)

 

ちょっと脱線します。僕はマラソンが趣味なのですが、夏暑い日が続いたりすると、今日はいいかと練習をサボりがちになります。

 

当然のように、何日かサボってしまうと、再開するのが億劫になります。

 

そんな時、効果絶大なのが、大会にエントリーしちゃうことです。

 

ちょっとした目標が出来ると、再開できるというわけです。単純ですが、それを繰り返しています。


上の写真は、映画監督ジム・ジャームッシュです。
フリー2年目くらいの新人カメラマンの頃、雑誌のページで撮らせてもらいました。

目の前に現れた彼は、僕がポーズの指示にまごついていると、ポケットからタバコを出してくわえてくれました。

かっこよくて、夢中で撮ったのを覚えています。
当時スモーカーだった僕は、タバコを吸う時、ジャームッシュになった気分でした。
この「なった気分」というやつが写真の被写体になった時役立ちます。

撮影の日が決まったら、なりたい人になった気分で日々を送ってみるのも手です。という話です。
姿が似ているかどうかはどうでもよくて、なった気分で、自分さえ気持ちよくなれればいいのです。
撮影中のどうしたら良いか分からない時にも、ぜひ。


10 カメラマン選び

パトリス・ルコント
映画監督  パトリス・ルコント

最も効果があり、最も難しいと思われるのは、カメラマン選びです。

 

誤解を恐れずに言うと、うまけりゃいいってもんでもありません。

 

僕は、修行時代、多くの巨匠や先輩の撮影現場を手伝わせてもらいました。

 

ですから、あの先生に頼んだら、こんな感じに撮ってくれるかなかなというのは、なんとなく浮かびます。

 

ところが、漫然と、誰に頼もうと考えても浮かびません。

 

そこで、用途を絞って、その写真を見る人に感じて欲しい人物像と考えてみると。

 

僕に例えて、雑誌で、写真のことをインタビューをされるとしたら。

とり繕ってカッコつけてるだけのお堅い人には見られたくないなあ、と思ったりします。


そうすると、「僕のちょっと変な部分も、面白く撮ってくれそうだから◯◯さんにしよう」と浮かんできます。

 

最初に、撮る写真で感じて欲しいこと、伝えたいことがはっきりしていれば、カメラマンを選びやすくなると言うことです。

 

テイストが合うかどうかの方が、上手いか下手かより大事な要素だという場合があります。

 

選ぶ要素として、知り合いだからとか、有名カメラマンだからと言う基準は一度捨てて、自分の目的と合うテイストのカメラマンを探すことを、お勧めします。

 

カメラマンには、自分のテイストでしか撮らない作家的な人もいますし、注文に応じて撮り分ける職人的な人もいます。

もちろん、その両面を持ち合わせている人が、最も多いと思います。

 

予算も合わせて、様々な基準があると思いますので難しいかも知れませんが、伝えたいことを、カメラマンが持っている技術とテイストの両面を照らし合わせて考えることができれば、選び方を大きく間違うことはありません。

 

あと、これが大事です。会ってみて、自然なやり取りがができる人に任せたいですね。


この写真は、大好きな映画監督、フランスのパトリス・ルコントです。確か「タンゴ」のプロモーションでの来日時だったと思います。
なぜ、使わせてもらったかと言うと、カメラマンの僕がカメラマン選びについて書くと、自分びいきに書いてしまいそうだと思ったから。
監督に見張ってもらおうと考えたわけです。


カメラマンから

いかがでしたか、少しでも役に立ったでしょうか?

 苦手な撮影が、少しでも楽しいものになってくれたら嬉しいです。

カメラマン清水博孝の写真
Photographer 清水博孝

 僕は、もともと、雑誌や広告の撮影を仕事にするカメラマンです。

俳優やモデルといった、写されるプロを撮影することが多かったのですが、2005年頃から、経営コンサルタントの友人の紹介で、経営者の方を撮影させていただく機会が多くなりました。

正直に言うと、うつされる訓練をしていない方達の撮影は、結構大変でした。

 

訓練されたモデルのポージングを真似してもだめだと気付くのには、少し時間が必要でした。

 

普段に近い動きの中から表情を見つけていく今の撮影スタイルは、試行錯誤の中から生まれたものです。

 

今では、「こんな自分に出会ったのは初めて!」「自分のイメージ作りに役立った」「撮影の時間が楽しくて、終わってしまうのが嫌だった」と嬉しい言葉をいただいています。

そして、多くの方を撮らせていただいてわかったことがあります。

ビジネスポートレート・宣材写真は、他の人に見てもらうために撮るのだけれど、お気に入りの一枚は、自己肯定感を高めてくれる。

人生で一番楽しくてワクワクするのは、「今まで知らなかった自分に出会うこと」「出来なかったことが、はじめて出来た」ことだと。

Spool+S Photography は、いつも、発見があるスタジオでありたいと思っています。

写真写りが良くなるコツは、お客様を撮らせていただく中から生まれました。

カメラマン清水は、スターたちを撮らせてもらった中で、最初に見てもらう一枚の写真の大切さを学びました。

そして、その最初の一枚は、被写体の「あなた」にとって、撮影の緊張をワクワクに変えてくれる魔法の杖になってくれます。



・コツは、見て知って直すこと

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