機材の進歩と撮影スタイル

軽量なリチウム電池とデジカメのおかげで、たいていのロケは、アシスタントなしで、一人でこなせるようになった。

移動も、今では、車より飛行機や新幹線の方が快適だと思える。

帰りの新幹線で飲むビールは、うまい。

大きな印刷物用の写真を撮る場合、フィルムカメラなら6×7(約6×7センチのフィルムを使う中判カメラ)以上のカメラが必要だった。

出来れば4×5(4×5インチのフィルムを使うカメラ)を使いたいと思ったはず。

そうなると、どうしてもライティングには、大型ストロボが必要になる。

ロケ機材の重さは、ざっくり計算して、最低でも60キロ位になってしまう。

正直言って、アシスタントを使っても新幹線移動のロケは、気が重かった。

それが、リチウム電池式のストロボが使えるようになって、一気に変わった。

カーボンのライトスタンドや三脚も軽い。

人物撮影のロケでの機材は、リチウム電池式の400w のストロボ1台 200w のストロボ3台とライトスタンド+アンブレラ。

これらが、細長いスーツケースみたいなキャリーバックに入って20キロちょいに収まる。

カメラ(α)2台とレンズ数本と mac は、リュック型のカメラケースに入れて背負う。これは、10キロ 弱。

体は、そこそこ鍛えてあるので、普通の旅行みたいな感じで移動できる。

と言うわけで、地方ロケの仕事は、とても快適になりました。

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ハイデルベルグ・ジャパンの新聞広告

一年半ほど前からハイデルベルグ・ジャパン社の新聞広告 PUSH TO STOP キャンペーンの写真を撮らせてもらっている。

ハイデルベルグ社は、ドイツの印刷機メーカーで高品質な印刷に欠かせない機械として知られる。

このキャンペーンでは、印刷機ユーザーの印刷会社の経営者にお話を伺っている。

ここ20年の間に、印刷業界全体の売り上げが40%減とも言われている。

その中で成長を続ける敏腕経営者の方々を撮らせてもらえる。

大好きな白黒のポートレイト一発で新聞15段(全面)に使ってもらえる。

久々に新聞広告をやらせていただいて、「大サイズの印刷っていいものだなあ」とあらためて思う。

最高にワクワクする仕事だ。

撮影スタイル

個人的に思っていることなのだけれど、人物を撮るとき、被写体一人に対して大人数で取り囲むようなスタイルは良くないと思っている。

被写体が、俳優のような撮られるプロなら話は別だけれど。

会社経営者は、大勢の前で話したりする機会は多いだろうし、人に見られることに慣れてれていると思う。

でも、撮られるプロではない。

最小の人数で進めることができるこの仕事は、ポートレイト撮影の環境として最高だと思う。

それを機材の進歩が助けてくれる。

4〜5灯のライトをカメラマン一人で組んでしまう撮影スタイルは、リチウム電池なしにはできない。

ちょっと前まで、機材撤収の半分くらいの時間を費やしていたのは、電源コードを巻いている時間だった(笑)。

アシスタントがコードを足に引っ掛けて、ストロボを倒して、その日のギャラの数倍が飛んでしまったこともあった。

機材の進歩のおかげで、カメラマンを続けていられるのだと、本気で思ってる。

昨日できなかったことが今日出来るようになるのって、本当に楽しい。