レンズは、一本

 「こんなに綺麗なのに、写真撮るとぜんぜんだめなのよ」と女性の声が聞こえた。
スマホを見て「ほらね」と念押し。

気持ちは、よくわかる。
カメラマンの僕だって難しい。
「感性だけでチャチャっと仕事できる清水さんが羨ましい」と言った編集者がいたが、それは間違いだ。

 


桜の美しさは、圧倒的だ。
見て感じたものを、全て伝えようと思っても無理だと思ったほうが良い。

撮りに行く前に、ちょっと諦めてみるのが僕のコツかもしれない。
風景写真家には、叱られてしまいそうだけれど。

持っていくレンズは、一本だけ。
プロカメラマンとしては、あるまじき行為かもしれないけれど、これは仕事ではない。

レンズを一本にすることで、撮ることができる絵は限られる。
撮らなくても良いものを捨てられるし、「これ撮れるよ」と、レンズが教えてくれる感じ。

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ミラーレスの不思議

レンズは一本と言ったけれど、できれば単玉(単焦点レンズ)が良い。

ズームレンズは、指の動きだけで、構図が整えられるから効率が良いのだけれど、便利な分、身体がサボる。

よく動き、動きが綺麗なカメラマンは良いカメラマンだとスタジオマン時代に気づいたが、今も、そう思っている。


単玉だと、引いたり寄ったりは、自分の足で動くしかない。


ほんのちょっと目の位置が動くだけで、見えるものが変わるから、よく見るようになる。

ここしかないという場所を探すようになることも、単玉の効用かもしれない。

今回に機材は、SONY α7RⅢ と FE85mm f1.8

 

フィルターは、使っていない。

見た目に近い、素直な表現が得意なレンズだと思う。

シャープさも十分だし、ボケも素直で美しい。

そして、α と、この85mmの組み合わせは、とても軽くてバランスが良く、持ち歩いて嫌にならない。


全然寄れないし、ちょっと不自由だけれど、それがまた良い。

思ってみれば、フィルムで撮っていた頃、ズームレンズは、ほとんど使っていなかった。

α というか、ミラーレス一眼は、不思議なカメラだ。

ロボットのようなすごい奴なのに、アナログの撮影を思い出させてくれる。