多摩川・2 宇奈根(川崎側)

宇奈根という地名

この辺を走るようになってから気がついたのだけれど、宇奈根という地名は、世田谷側にも川崎側にもある。

両岸に同じ地名が見られるのは、大洪水によって村が分断された名残らしい。

他にも思いつくだけで、和泉、二子、野毛、等々力、丸子などもある。

調べたら、もっとありそうだ。

多摩川は、暴れ川だった。

そんなに昔の話ではなく、昭和や平成の時代になってからも、幾度も洪水があったようだ。

⬇︎クリックで拡大と撮影データ

写真は、宇奈根川崎側から撮影 対岸も宇奈根。ビル群は、二子玉川

とことん使われている川

多摩川には、上流の羽村から羽田近くの河口まで、多摩川サイクリングロードがある。

途中川崎側に渡ったり、東京側に渡ったりの工夫は必要だけれど、53km を信号なしで車と出会わず走ることができる。(自分最長は35km)

 

走ったり歩いたり、ビールを飲んで昼寝したり、こうして写真を撮らせてもらったり。

僕にとって、本当にありがとうと言いたくなる川なのだ。

上流から走っていてよくわかるのだが、羽村取水堰を始め、この川には、沢山の堰がある。

堰のすぐ下流は、たくさんの水が取られてしまうから、ちょっと寂しい流れになる。

でも、またしばらく下ると、支流が加わって少し大きな流れになる。

何度も、それが繰り返される。

ゴミ焼却場のメッカでもある。運動公園の数もすごい。運河としても使われていた。

もっと下流に行ったら、工業地帯だ。

東京を流れるこの川は、土地も水も、本当にとことん利用されていると思う。

でも、自然だと思えるような地形や風景をよく残してくれている。

鶯の声も聞こえるし、時々マムシにも出会う。

釣り人もたくさんいる。

「多摩川の魚なんか食べられるのだろうか」と、じつは思っていた。

水質調査もやっている環境調査会社の方がお客様としてきてくれた時に聞いてみたら「大丈夫、安全です。」という。

自然は、たくましいものだと思った。

春から初夏にかけて多摩川は、菜の花や、場所によっては、ハマダイコンの白い花でいっぱいになる。

当然だけれど自然のものではなく、タネを蒔いたもの。

「自然破壊だ、生態系が狂ってしまう。」という意見もあるらしい。

植物の微小な毒の問題はあるにせよ、個人的には、花が咲いているのは、とても良いと思う。

「綺麗だな。」と思ったら大事なものになる。

⬇︎クリックで拡大と撮影データ 対岸は、宇奈根東京側

写真は、宇奈根川崎側から撮影 対岸も宇奈根。遠くのビルは、用賀

写真と天気

走ったり歩いている時、あそこから見たらこう見えるかなと、いつも思っている。

 

天気と時間と季節も想像する。

と言いながら、走り終わると大体忘れている。

でも、忘れたからといって何の役にも立たないかというと、そうでもなく、雨が降ったりとか、何かの刺激で思い出すのだ。

この写真を撮ったのは、一昨日の4月24日夕方。

ちょっと疲れがたまっていて、走りに行くのが億劫だった。

小雨だけど降っているしな、サボろうかと思った。

それで何となく思い出した。

菜の花のある風景を撮るなら雨の日だと思っていたことを。

場所は、あそこ。自転車で10分くらい。

濡れるからレンズ交換はしたくない。レンズは、ズーム一本だけ。三脚は必要。

カッパ着てカメラと三脚持ってママチャリで。想像するとかなり怪しいが自分自身には見えない。

写真を撮るには、晴れの日が良いと思っている人が多いように感じるけれど、僕は、雨の日が結構好きだ。

晴れていると光と陰に目を奪われる写真になりやすい。

雨の日の柔らかいトーンは、見たいものに素直に目を向けられる写真になる。

設定次第で明るい写真にすることもできる。

ホワイトバランスと露出補正に注意すれば良い。

僕の場合は、必ず RAW で撮って後で編集する。

撮影の時は、必ずヒストグラム(明るさをグラフ化したもの)を確認する。

白飛び黒つぶれがないか、写真の大事な場所がデータの中に入っているか。

見た目で明るい暗いを判断してはいけない。

人の目は相対的なもので、環境光に左右されるから。

⬇︎クリックで拡大と撮影データ 対岸に見えるのは、二子玉川

この三枚の写真は、僕の視点というより、ず〜っとそこにいる木や動物が見ている風景として撮りたかった。