写真写りを左右するもの・光

なにこれ。と、思うかもしれません。
見たままですが、白い皿の上に置いた白い卵です。
なぜ、こんな単純なものを撮ったかというと、あることに気がつきやすいかも、と思ったからです。

⬇︎クリックで拡大

同じものを同じアングルで撮っても

これ、自宅で撮ったので、ライティングの機材は、使っていません。
単純に、晴れた日の朝、白いカーテン越しの光と直射日光で撮ったものです。
カメラを三脚で固定して、レンズ絞り値も一緒(フォーカスが合う範囲も一緒)で撮っています。

色だけ調節してあります。

 

同じものを同じアングル、同じレンズで撮っていますから、重さも大きさも同じに見えるはずなのですが、違って見えませんか。

違うのは、光だけです。


クリックで拡大するとわかると思いますが、見て欲しいのは、表面の質感です。
左のカーテン越しの光の方は、しっとり滑らかに、柔らかく見えます。
右の直射日光が当たっている方は、ザラザラに、反射で光っている質感から、ものの硬さも見えます。


実はこれ、卵だからそう見えるわけではなく、宣材写真・プロフィール写真撮影の時も同じようなことが言えます。


同じものを撮っても、違ったものに見えるのがライティングの面白さとも言えます。

硬い光で撮ると、こまかい質感が描写され力強い。言い換えると、肌が荒々しく、毛穴とシワが強調される。

反射や透過した柔らかい光だと、こまかい質感は見えにくくなるけれど、滑らかな肌に見えます。
だったら、人を撮るときは柔らかい光が良いかというと、そうだとばかりも言えません。
「どう表現したいか?」によって変わりますし、被写体の質感や形によっても変わってきます。
肌は綺麗に見せたいけれど、シャープな感じにも見せたいという場合もあります。

これから写真を撮ってもらうという方には、メール等で OK なので、カメラマンと数日前までに打ち合わせすることをお勧めします。
事前に写真などを見て、顔の作りや肌の質感を知り、どのような印象を残したいのかを知っているかどうかは、光の組み立てに大きく影響しますから。

 

カメラマンは、というか僕の場合、ライティングを組み立てるとき、いつも自然の中の光を想像しながら組み立てます。
このとき、再現したいシーンによっては、街の人工的な光も自然光と考えます。

季節と天気と時刻を想像して、例えば「薄曇りの日のスキー場、時間は日暮れ前」とか。
具体的にどうするかというと、「薄曇りの夕方の光」=太陽光が湿度による水蒸気でディフィューザーのような空気によって、少し遮られて柔らかくなりながら光の芯は少し残っていて、被写体を背景から少し浮き上がらせる=「弱めの点光源(生の光)とうすい紗幕ごしの面光源(反射光または透過光)のミックス光」ハイライトは赤みがあってシャドウ部は、青みがある。

となります。

スタジオでのライティングとは、自然を観察して、人工光を使って再現することとも言えます。
カメラマン病とも言えますが、「綺麗な光だな」と感じると、つい「ストロボなら、どうする」と考えてしまいます。

「カメラマンは、感性の仕事」と言われると、つい反論したくなるのは、じつは、こんなことを繰り返しているからかもしれません。

 


最後になりましたが、「写真撮ってあげる」と言われた時、直射日光には注意!ですよ。
特に、これからの季節。
「ありがとうという」前に、誰かを立たせて顔の影をチェック(笑)です。

前のブログへ
次のブログ

ブログトップページへ

お問い合わせは、こちらのフォームから、お気軽にどうぞ。